花火


僕は君を見つめ返すことしかできなかった。

いや、しなかった。

君は重たい口を開く。

「明日、この町を出るの。」

僕にはその言葉が理解できなかった。

いつものように。

普通に。

そんな毎日が当たり前だと思っていた。

だけど、

それは普通でも、

当たり前でもない。

「ずっと、遠く遠くに。」

君の頬を涙が伝い、地面に落ちていく。


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