リセット
校門を出るまでに市ヶ谷を指さした連中が何人もいた。俺はそいつらを、ひたすら頭の中でボコボコに殴っていた。
無性に腹が立つ。
市ヶ谷とは去年の春からの付き合いだ。
12月の冬休みに入ってからは会っていないけど。放課後には遊んだし、夏にはつるんでいる連中とともに海にだって行った。高校生らしい日々だった。
たった8ヶ月ない付き合いだったが、友人だ。
知らない奴が友人をけなしていると思うと、腹が立つ。
いたって普通の感情だ。
「なんかさ」
隣を歩いている市ヶ谷がぽつりともらした。真面目な話だと身構える。
「間宮に彼女ができたんだって? 何それ。俺がいない間に学校どうなっちゃってんの?」