純愛は似合わない
そんな男が何故、今ホストになっているのか。
「あんた、確か穂積さんの有望株だったと思うんだけど。ここで何やってんの」
遠慮の無い言葉を繰り出す私に、彼は微妙な顔をした。
「……穂積さんのこと知ってるんだ」
「あんたのこと『俺の後継者』って呼んでた気がする」
その後のヒロはホストとしてはどうよ、と思うほど凹んでしまい、私はこの店で『ホスト泣かせの女王様』という、ありがたくも無い称号を手にした。
ーー ヒロがモートンを辞めた理由。
それは間接的にではあるが、穂積さんも関係していた。
簡単に言えば、同僚達の嫉妬だ。
穂積さんがヒロを可愛がり過ぎた余り、彼は先輩社員達から陰湿な嫌がらせを受けていたらしい。
挙げ句、その中の1人の彼女へ横恋慕したとされ、ちょっとした修羅場になったのだという。
完全にアウェイ状態だった彼が否定しても聞き入れられることは無く、そして穂積さんが海外のコンクールの審査員として出張している間に、辞めざるを得ない状況に追い込まれたのだった。
自分がいる理由が分からなくなった、とヒロは呟いた。
上司に目を掛けられ仕事も楽しくて、調子に乗っていたのだと自嘲する彼は、妙に艶っぽく痛々しかった。
「あんた、確か穂積さんの有望株だったと思うんだけど。ここで何やってんの」
遠慮の無い言葉を繰り出す私に、彼は微妙な顔をした。
「……穂積さんのこと知ってるんだ」
「あんたのこと『俺の後継者』って呼んでた気がする」
その後のヒロはホストとしてはどうよ、と思うほど凹んでしまい、私はこの店で『ホスト泣かせの女王様』という、ありがたくも無い称号を手にした。
ーー ヒロがモートンを辞めた理由。
それは間接的にではあるが、穂積さんも関係していた。
簡単に言えば、同僚達の嫉妬だ。
穂積さんがヒロを可愛がり過ぎた余り、彼は先輩社員達から陰湿な嫌がらせを受けていたらしい。
挙げ句、その中の1人の彼女へ横恋慕したとされ、ちょっとした修羅場になったのだという。
完全にアウェイ状態だった彼が否定しても聞き入れられることは無く、そして穂積さんが海外のコンクールの審査員として出張している間に、辞めざるを得ない状況に追い込まれたのだった。
自分がいる理由が分からなくなった、とヒロは呟いた。
上司に目を掛けられ仕事も楽しくて、調子に乗っていたのだと自嘲する彼は、妙に艶っぽく痛々しかった。