純愛は似合わない
この時間に彼は起きているだろうか?
いや、それよりも。
可愛いお姉ちゃんとお楽しみの時間だったら、邪魔をすることになる。
そもそも腐れ縁は、踏み込まない領域があるから、腐れ縁なのだ。
私は手の内のスマホを、もう一度バッグに戻し、代わりにボールペンを取り出した。
『昨日はお世話になりました。この部屋には虫が出るようなので自宅に戻ります』
こういう時、オートロック式のドアは便利だ。お蔭で、速人を待たずに帰れる。
そんなことを考えながら、速人が書いたメモの裏紙に、一応のお礼とチクリと一刺しする言葉をしたため、部屋を後にした。
ーーーーー
ーーー
自宅であるマンションに戻るなり、自分専用のソファに座り込み、ふぅ、と一息吐いた。
病み上がりの身体は、流石に疲れやすい。
残暑が残る外気に晒されながら電車に乗り、更には駅前のスーパーマーケットで軽く食材を購入した。
それだけで体力を消耗したらしく、1回座ったら立ち上がりたくなくなった。
どのくらい、そうしていたのだろう。
ソファに身体を預けて目を閉じていると、静かな部屋に小さな着信音が聞こえた。
『もしもし、早紀ちゃん? 今何処?』
「ヒロか。おはよう」
『おはようじゃないでしょ。もう昼だよ』
「今起きたんじゃないの?」
『……そんなに自堕落した生活してないってーの。それより、今何処?』
いや、それよりも。
可愛いお姉ちゃんとお楽しみの時間だったら、邪魔をすることになる。
そもそも腐れ縁は、踏み込まない領域があるから、腐れ縁なのだ。
私は手の内のスマホを、もう一度バッグに戻し、代わりにボールペンを取り出した。
『昨日はお世話になりました。この部屋には虫が出るようなので自宅に戻ります』
こういう時、オートロック式のドアは便利だ。お蔭で、速人を待たずに帰れる。
そんなことを考えながら、速人が書いたメモの裏紙に、一応のお礼とチクリと一刺しする言葉をしたため、部屋を後にした。
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自宅であるマンションに戻るなり、自分専用のソファに座り込み、ふぅ、と一息吐いた。
病み上がりの身体は、流石に疲れやすい。
残暑が残る外気に晒されながら電車に乗り、更には駅前のスーパーマーケットで軽く食材を購入した。
それだけで体力を消耗したらしく、1回座ったら立ち上がりたくなくなった。
どのくらい、そうしていたのだろう。
ソファに身体を預けて目を閉じていると、静かな部屋に小さな着信音が聞こえた。
『もしもし、早紀ちゃん? 今何処?』
「ヒロか。おはよう」
『おはようじゃないでしょ。もう昼だよ』
「今起きたんじゃないの?」
『……そんなに自堕落した生活してないってーの。それより、今何処?』