純愛は似合わない
「私がこうして待ってるのに、ずかずか寝室まで来るなんてっ!! 早く出て行ってよっ」
「……ギャラリーがいるのは御不満ですか?」
わざとらしくジロジロと視線を送り、彼女を煽る。
「あなた、おかしいんじゃないのっ?!」
「……貴女がここにいらしてること、知ってますか? 速人は」
家で待つようメールをいれたのは彼だ。
頭の妙に晴れた部分で、速人はこんなズサンなことをするのだろうか、と疑問に思う。
敷島紫の顔が悔しそうに歪んだ。
それが、答えなのだろう。
「今日は貴女の日では無いようですね。…どうぞお引き取り下さい」
寝室のドアを閉めると渇いた音がした。
速人のせい。
……違う、自分のせいだ。
気持ちの無い関係に、勝手に寄り掛かったのは私なのだ。
私の耳の奥底で、何度かドアが開く音がした。
いつの間にか彼女は姿を消して、速人が帰って来たようだ。
「……何だ、いるじゃないか」
ソファで固まったままの私を見付け、彼は軽く溜息を吐いた。
「思ったより遅くなったから、何度か電話したんだ」
1年振りに会う速人は疲れて憂いを帯びていた。
「ただいま」
速人は私に近付き屈み込むようにして、親指の腹で左の頬を撫でる。
私は彼の瞳の中に映る、表情の無い自分を見詰めた。
「……早紀?」
「私…あとどのくらい……貴方につき合わないといけない?」
速人の指先がピクリと動いて、止まる。
「……ギャラリーがいるのは御不満ですか?」
わざとらしくジロジロと視線を送り、彼女を煽る。
「あなた、おかしいんじゃないのっ?!」
「……貴女がここにいらしてること、知ってますか? 速人は」
家で待つようメールをいれたのは彼だ。
頭の妙に晴れた部分で、速人はこんなズサンなことをするのだろうか、と疑問に思う。
敷島紫の顔が悔しそうに歪んだ。
それが、答えなのだろう。
「今日は貴女の日では無いようですね。…どうぞお引き取り下さい」
寝室のドアを閉めると渇いた音がした。
速人のせい。
……違う、自分のせいだ。
気持ちの無い関係に、勝手に寄り掛かったのは私なのだ。
私の耳の奥底で、何度かドアが開く音がした。
いつの間にか彼女は姿を消して、速人が帰って来たようだ。
「……何だ、いるじゃないか」
ソファで固まったままの私を見付け、彼は軽く溜息を吐いた。
「思ったより遅くなったから、何度か電話したんだ」
1年振りに会う速人は疲れて憂いを帯びていた。
「ただいま」
速人は私に近付き屈み込むようにして、親指の腹で左の頬を撫でる。
私は彼の瞳の中に映る、表情の無い自分を見詰めた。
「……早紀?」
「私…あとどのくらい……貴方につき合わないといけない?」
速人の指先がピクリと動いて、止まる。