純愛は似合わない
7.宴の後で
―――――
―――
「成瀬さん、お疲れ様」
懇親会が終わって最後の社員達が会場をあとにした時、残っていたのは瀬戸課長だけだった。
今はホテルのスタッフ達が、一斉に後片付けを始めていた。間仕切りを元に戻し、明日のセッティングへ部屋の中を変更している。
速人達に背を向けた後、総務の先輩達の輪を探していたら総務部長に呼ばれて、飲み過ぎた経理課の女子社員を押し付けられた。
自分が飲ませたくせに、と心の中で舌打ちをしつつ、救護室へ連れて行く。
彼女は救護室のベッドに横になりながら、私に半泣きで謝り続けた。
単なる泣き上戸かもしれないが、余りにも惨めそうな顔をしているので止むを得ず、彼女の家族の迎えが来るまで付き添っていた。
これ以上余計な感情を持ちたくなかった私には、あの場から消えられるのは丁度良かったのだと思い直しながら。
家族に彼女を引き渡し会場に戻った時には、速人は社長として締めの挨拶をもう語り終えていた。
「……疲れました」
「部長も責任持って飲ませて欲しいものだよね。とにかく助かったよ」
私が付き添った経緯を他の社員から聞いていたらしい。
「全く」と、瀬戸課長は溜息交じりに零した。
「後はあそこにいる飯田さんに挨拶して帰ろう」
飯田さんとはモートンの宴会担当者。
「はあ」
「成瀬さん、この後飲みにでも行く?」
「はあ?」
「たまには良いでしょ」
他意は無さそうな顔をする、瀬戸課長の顔をチラッと見た。
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「成瀬さん、お疲れ様」
懇親会が終わって最後の社員達が会場をあとにした時、残っていたのは瀬戸課長だけだった。
今はホテルのスタッフ達が、一斉に後片付けを始めていた。間仕切りを元に戻し、明日のセッティングへ部屋の中を変更している。
速人達に背を向けた後、総務の先輩達の輪を探していたら総務部長に呼ばれて、飲み過ぎた経理課の女子社員を押し付けられた。
自分が飲ませたくせに、と心の中で舌打ちをしつつ、救護室へ連れて行く。
彼女は救護室のベッドに横になりながら、私に半泣きで謝り続けた。
単なる泣き上戸かもしれないが、余りにも惨めそうな顔をしているので止むを得ず、彼女の家族の迎えが来るまで付き添っていた。
これ以上余計な感情を持ちたくなかった私には、あの場から消えられるのは丁度良かったのだと思い直しながら。
家族に彼女を引き渡し会場に戻った時には、速人は社長として締めの挨拶をもう語り終えていた。
「……疲れました」
「部長も責任持って飲ませて欲しいものだよね。とにかく助かったよ」
私が付き添った経緯を他の社員から聞いていたらしい。
「全く」と、瀬戸課長は溜息交じりに零した。
「後はあそこにいる飯田さんに挨拶して帰ろう」
飯田さんとはモートンの宴会担当者。
「はあ」
「成瀬さん、この後飲みにでも行く?」
「はあ?」
「たまには良いでしょ」
他意は無さそうな顔をする、瀬戸課長の顔をチラッと見た。