第3ワープ宇宙局
「諸君、よくここまできた。私は第3ワープ取り締まりのニコラスだ。これから諸君たちは長い旅にでる。ライマンα天体ヒミコの調査は順調である。Jt78惑星を発見し、大気を見つけた。山や海の存在も確認できた。バクテリアにアロアナ恒星の恩恵を認められた。つまり地球にかなりの類似点がある事が前回の調査でわかったのだ。諸君たちには知性をもった生命体の発見に勤しんでもらう。なお発見した場合捕獲はしてはならない。生命反応をこのカメラで記録するように。それではワープに向けて体を十分に休めてくれ。」
軍人のようなニコラスは浅黒く、南米の趣があった。
「ヒミコに生命があった。」
徹は喜びをシリルに伝えた。
「知性をもった生命体の調査なんて、凄くやりがいがあるね。哺乳類がいたら凄い騒ぎだ。
地球に徹の名前が知れ渡るよ。史上ふたり目の地球で産まれたライマンα天体ヒミコの調査員だし。」
シリルはにこにこして言った。
「そうだ。確かにそうだ。」
徹は自分に係わる事実ながら、すっかりそんな功績を忘れていた。
「ふたり目かぁ。二番煎じみたいだけど、知性のある生命体を発見すれば、歴史に残るかも知れない。」
徹は舞い上がっていた。
「徹は地球にライマンα天体ヒミコの正体を伝える為に来たメッセンジャーだよ。Jt78惑星なんて地球じゃ全然知らない人が多いんじゃないかい?」
とシリルは言った。
「そうだよ。そうか地球に伝えたるメッセンジャーか。」
徹は最後独り言のように呟いた。
しかし、徹の期待とは裏腹に、ライマンα天体ヒミコの情報は第3ワープ宇宙局により制限されている。
第3ワープ宇宙局ライマンα天体ヒミコ調査の公用語のロシア語を積極的に教えないのも、地球上に帰る者がいるからである。全て
独占的事業とする為にしていた事である。
他の宇宙事業に先端技術を隠し、ワープ業を独占していたのだ。
そして第1ワープは火星の基地にあり、第2ワープは木星を公転するスペースコロニー内にある。
第3ワープ以外一体どこにワープするのか、
第3ワープ宇宙局の上層部しか知らないのだ。



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