第３ワープ宇宙局
木星

第３ワープ

いよいよ木星まで行く準備が始まる。第３ワープは木星の衛星を拠点に、数人の宇宙飛行士が寝泊まりしている。
彼らは皆第３ワープ宇宙局の社員だ。
いずれもエキスパートである。
彼らがハッチを開け、シャトルを恐ろしく遠いライマンα天体ヒミコまでワープさせる。
ワープと言っても、数日間は着かない。
そのあいだ、苛酷な自分の体重との戦いが続く。
試験に通ったからといって、本当に耐え得るかは見当が着かないのが事実だった。
何人か重体に陥り、宇宙空間を漂いながら治療した者もいた。
死者は出ていないのが救いだが、不安な任務であるのは間違いない。けれど、この任務に就きたがる人が多いのは、ひとえに、ライマンα天体ヒミコの魅力だろう。
この目で見たいと、強く願う者が大勢いるのだ。
自らの命をかけても。
徹もそうだった。
「この目であのヒミコが見られる日が来るなんて。」
徹は感慨深げにシリルに言った。
「もうすぐだね。」
シリルも同じ気持ちで呟いた。
「徹。頑張ろう。」
「あぁ」
ふたりは期待と不安を持ち合わせながら、
就寝時間を迎えた。
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