LOVEPAIN②

「なかなかあのヘアメイクさん、
上手いのね」


咲山モモはスカートのポケットから小さな折り畳みの鏡を取りだし、

自分の髪型を見ている



「私、今日の絡み、バックだけだよね?

あんまり強くされたら、
後ろとか崩れそう…」



「別に、お前が主役じゃないんだから、
それくらいいいだろ?」


成瀬のその言葉に、
咲山モモは、そっか、って笑っている



本当に、咲山モモじゃなく、
私が主役でいいのだろうか?





「社長のお気に入りの広子ちゃん、
どんな風に乱れるのか、楽しみにしてる。

本番では一応ライバルみたいだし、
お喋りはこれくらいにして。

じゃあ、後ほど」


咲山モモはそう言って、
一人の男性の方へと歩いて行く



その男性は四十代くらいでスーツ姿



多分だけど咲山モモのマネージャーかな?



今、この場でスーツを着ているのは、

成瀬とその人だけだから





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