LOVEPAIN②


「じゃあ、俺、会社戻るから、
さっさと車から降りてくれないか?」



「いえ!まだ二つ有ります!

なんですか?
この、“原夫妻慰謝料 50000円“って」


その項目を指差し、成瀬に見せる




「ほら?
俺、原とか言うおっさん殴ったじゃんか?

お前の為に。

その時に、5万程俺の財布から出して、
あのおっさんに渡しただろ?

訴えられない為にも、
多少の金を握らせておかないと」



「お前の為に、って、成瀬さんが勝手に殴ったんじゃ…。

それに、訴えてもいい、みたいな事、原夫妻に言ってませんでした?」



「そりゃあ、言うだろ?

“お願いだから、訴えないで下さい”
なんて言ったら、

相手を付け上がらせるだけで、
余計に訴えられるかもしれないじゃんか」



「そうですけど……。

でも、まぁ、これはいいです」



「えっ?いいのか?」


成瀬は、簡単に引き下がった私に、きょとん、としているが、

これはこれでいいのかもしれない



私もあの時、
原さんを殴ってやりたかったから




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