LOVEPAIN②
一番大事
ネオンで昼間のように明るいこの歓楽街を走り抜けるが、
人通りが多くて思うように走れない
横に何人かで列なって歩く人達に、
行く手を阻まれる
足が重くなって来て、
ゆっくりと歩く
角を曲がり薄暗い通りになると、
今度は人の気配が殆どなくて、
自分がこの世で独りぼっちなのだと思わされて、
泣きそうになる
「――広子っ」
自分の名前を呼ぶその声に反応して振り返ってみるが、
「――ケイさん?」
自分の名を呼び追ってくる影が、
自分をこうやって追い詰めた人間だと言う事に、
違和感を感じる
「――お前はなんで急に帰るんだよ?」
息を切らしながら、
私に近付いて来る
「なんで私を追い掛けて来るんですか?
それに、あなた初対面で失礼だし、
馴れ馴れし過ぎませんか?」
後、接客業としてあの態度はどうなのか?と、
怒鳴り付けたくなって来る