LOVEPAIN②

「あっ、ちょっと携帯貸して!」


寝転んでいた体を起こして、
手を伸ばす



自分が今、焦っているのが分かる



須田に、成瀬の存在を知られたくない




「広子、お前男いんの?」


須田は私に携帯電話を返す事なく、

うって変わった低い声でそう訊いてくる




「居ない!居ないけど……」



どう言っていいのか分からない


成瀬は彼氏ではないが、
かと言って、何もない関係でもないし……


別に悪い事をしている訳ではないのに、
須田に対して後ろめたい




須田はそのまま
赤外線通信を使い、

自分のスマートフォンと私の携帯電話に番号等を送り合っていた



私は何も言えず息を飲み込み、

須田が次に何を言うのかが怖くて、
心臓の鼓動が早くなる



きっと、着信履歴も見られているはず……






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