LOVEPAIN②


『お前、部屋にいねぇーじゃんか』


そう言われ、同じマンションに住んでるのを思い出した


そんなに手間じゃないので、

電話に出ない私を心配して、
直接部屋に訪ねて来たのかもしれない



インターホンが聞こえないくらいに眠っていた、と伝えようかと思ったけど、

言葉が喉迄昇って来て、慌てて飲み込む




まさかだとは思うけど……



成瀬は私の部屋の合鍵を持っている


私の部屋だけじゃなく、

同じ事務所であのマンションに住んでる子全員だけど



そんな私用に使うかな?とは思うが、
私の勘ではきっと……




『お前さぁ、電話口から人の声とか聞こえて来るのに、
部屋とか嘘付くなよ。

ずっと圏外だったのは、どう説明すんだよ?』



成瀬に言われて辺りを見渡すと、

路地の向こうにサラリーマンの集団が騒ぎながら通り過ぎた



電源を切っていたのは、
どう嘘を付いて説明しようか……



思い付かない……





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