LOVEPAIN②
「そうだけど、
まぁ、俺が勝手に来た訳だし、
気にするな」
「――はい」
ラジオか何かなんでもいいから流して欲しいくらいに
車内は静かで、気まずい
特に会話もないまま車は進む
あまりこの辺りの土地勘のない私でも、
この車が真っ直ぐとマンションに向かっていないのが分かる
明らかに、この車は山を登っている
段々とその山道は暗くなり、
先程迄はちらほらと有った対向車も、今は無い
「あの、成瀬さん……」
そう問い掛けても、
こちらを一瞥するだけで何も言わない