LOVEPAIN②

「――実は、コウジロウもそれでオッケーして、滝沢さんとそれで上に話を通してたんだけど、

上が頷いてくれなくて。

今の時代、元芸能人でもない限り本番なしは駄目だって……」



「えっ?どう言う事ですか?
今日撮影するんですよね?」


そう尋ねながら、
初音さんの表情が暗くなっている事に気付いた




「――広子ちゃんに、本番させる気。
疑似じゃなく、普通に。

男優さんはそのつもりで撮影に来るから、
そのまま広子ちゃんに……」


私の髪を櫛でとぐ
初音さんの手が止まる





「――成瀬さんは、知ってるんですか?

それを許してるんですか?」



成瀬は知っているのだろうか?


もし知ってたら、
私を連れて来るはずなんて、ない





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