LOVEPAIN②


「――ああ。
仕事の事とかでちょっと。

別に彼氏君が心配するような事はないから」


そう言って笑う成瀬に、
拍子抜けしてしまう


その笑顔は、コウジロウさん達に見せていたような、
仕事用の人の良さそうな笑顔




「で、でも……。

仕事の事にしても時間が時間でしたし……。

そんな大事な用件だったんすか?」


須田も戦意を喪失したように、戸惑っている




「仕事の用件は、
病院に性病の検査に行っといてくれって事で大した用じゃなかったんだけど。

ただ、その日撮影だったんだけど、
その時広子がちょっと元気無かったから気になったのも有って電話したんだ。

なのに、出ないから余計に心配になって何度も電話してしまって……。

たまに、そうやって逃げてしまう子とか居るから。

一応、俺はこいつのマネージャーもやってて、
そうなったら俺の責任なわけだし」



「マネージャー……。

ああ。
なんとなく分かりました」


須田は今一つ腑に落ちない部分も有りそうだけど、
成瀬にそうやって早口で一気に喋られ、

これ以上何かを言い返す事は無かった




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