LOVEPAIN②

「じゃあ、俺はこれで」


成瀬はそう言って、
そのままマンションの正面の方へと歩いて行く



この人って、嘘付く時ってけっこう巧みに付くよなぁ、と、

改めて思ってしまった



とりあえず、何も揉め事もなく過ぎ去ってくれて、

安心した




「お前、社長にマネージャーに付いて貰ってんだ?

すげーな?」



「えっ?そうかな?」


突然、そうやって誉められて、
戸惑う




「それにしても、あの人カッコ良かったよな。

俺、嫌だなぁ。
あんなカッコいい奴と広子が仕事でずっと一緒に居るの」



「――大丈夫だから」


私は須田の手を、
強く握り締めた



大丈夫じゃないのは、
私が一番よく分かっているのに




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