LOVEPAIN②
「じゃあ、鞄に入れておきます」
私は鞄の内ポケットに指輪を入れた
「鞄はどうしましょ?」
「机の上に置くわけにいかないから、
俺が預かる」
「はい」
私は手提げ鞄も、成瀬に渡した
「じゃあ、後頑張って」
成瀬はモッズコートと鞄を抱え私に背を向けると、
歩き出そうとする
「えっ?!成瀬さんどっか行っちゃうんですか?」
「俺が居たって仕方ないじゃん。
それに、外は寒いし」
そう言って、成瀬はこちらを一瞥し、
今日は寒いなぁ、と口にしながら私から離れて行く
「――薄情な人だなぁ」
私はどうしようもなくて、
置かれているパイプ椅子に腰をかけて机に肘を付く
寒さに、体が震えた
その私のサイン会告知のポスターには、
サイン会は本日昼の12時~15時迄と書いて有る
3時間も有るのか……