LOVEPAIN②
「えっ?」
その立ち止まった男性と目が合い、
私は付いていた肘を上げて姿勢を正した
その男性は、一緒に居る友達から離れて私の方へと歩いて来る
「あっ、あの、サイン下さい」
その男性は若いとは思っていたが、
近くで見ると同じ歳くらい
私服だから分からないが、
高校生か大学生くらいだと思う
「あっ、はい」
私は色紙を一枚自分の方へと引き寄せて、
マジックのキャップを外して、
それを握り締める
緊張しながらも、
その色紙に“鈴木広子”と書いてみた
それは、所謂サインっぽくなくて、
ただ大きく署名しただけ