LOVEPAIN②
「成瀬ちゃんは、シビアだね」
コウジロウさんがそう笑うと、
少し悪くなっていたこの場の雰囲気が戻る
仕事なのに私情を挟んで駄目だと、
自分を諌める
だけど、成瀬に対しての気持ちはおさまらない
私の知らない所で勝手に本番ありをオッケーしただけじゃなく、
NGも減らしたんだ……
私は成瀬の方を睨むように一瞥すると、
そのまま言われた通りベッドへと乗る
枕の近くに座り、膝を崩す
直ぐに、男優で有る武石健も
私の横にへと座る
武石健はそのままの上半身裸姿で、
下はジーンズをはいている
いきなり、全裸で来られなくて良かった、
とため息をつく
正面を見ると、
目の前にはコウジロウさんや撮影のスタッフが居て、
その後ろ、ベッドから2メートルくらいしか離れてない位置に、
成瀬は居た
腕を組んで壁にもたれている
何を考えてるのか分からない真剣な顔で、
ただこちらを見ている
目が合うのが怖くて、
成瀬から視線を逸らしてしまった