LOVEPAIN②

微かに、玄関の方からガチャッと音がして、
扉が開閉するような音がした


私達が来た廊下を歩いて来るような音がして、
私の心拍が段々と早くなる


誰かが外から入って来て、
それが誰であるか、決まっている




「ナツキさんかな?」


須田が私の横でそう口にした瞬間、心臓が跳ねた


なんでこんなにドキドキとしているんだろうか?と、
自分でも不思議になってしまう




再び、この目にしたナツキは、
あの夜見た時よりも爽やかで、大人に見えた




「あっ、ケイ?

帰ってたんだ?」


店で聞いたよりも、低い声


扉を開けて、リビングに入って来るその足取りが、
しなやか


綺麗な茶色の髪が、揺れる




須田の事を、店での名前で有る“ケイ”と呼び、
すっ、と私の方に視線を向けた




「ナツキさん、こいつが話してた彼女の広子。

あの時、レンさんの卓に居たんだけど、覚えてないですか?」


須田は私をナツキに紹介する



確か、モモさんの担当はレンって人だったな、と思い出す





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