LOVEPAIN②

「――本番ありになった事、
なんで話してくれなかったんですか?

NGが減った事も……。

私、成瀬さんに騙されたみたいで、悲しかった……」


私は話しながら
こみ上げて来る涙を耐える


泣いたら、化粧が汚く崩れる


今のそれはプロ意識とかではなくて、
成瀬の前では綺麗な顔を見せていたいから





「本番ありになった事は、別に隠してないだろ?

だって、お前に台本見せたじゃんか。

あれに、する事が細かく書いていただろ?」



「そんなのっ!

口で言ってくれなきゃあ分からない!」


私は起き上がり、成瀬を睨む



起き上がると成瀬の顔が近距離に有って、
その目の光が弱々しくて、
責める気持ちが萎えてしまう


すっ、と、怒りが自分の中で薄くなって行く




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