幸福猫
友達の誕生日パーティーに呼ばれて行った時には、友達の親や家の中の雰囲気がまったくちがくて驚いたこともあった。

「きっと今年は誕生日なんか忘れてるかも。この前、両親が帰って来たときに大喧嘩しちゃったからな。」

きっと限界だったんだ。俺達は家族という枠にピッタリとはまる事が出来なかった。

「そう・・満月君は当たり前のような家族でいたかったのね。」

「いや、別にそんな・・あれ?なんで名前を・・・?」

確か、このお婆さんにはまだ名乗ってなかった筈だ。ってか俺は名乗ってすらいない人に何をベラベラ喋っちゃってるんだろう。

「ふふっ。ムーンが教えてくれたのよ。あなた、ムーンには名前を名乗ったでしょう?」

まぢですか・・本当にムーンと話しているのか?

「ムーンは本当に不思議な猫よ。なんでも話すといいわ。・・なんで両親と喧嘩したのか聞いてもいいかしら?」

ムーンももちろん不思議だが、このお婆さんもかなり謎だ。そして初対面の人にベラベラと家庭事情話している俺も謎だ。
< 6 / 8 >

この作品をシェア

pagetop