豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
「もう、俺はここには戻れないんだろうな」
孝志が声を落として、そういった。
「ここを出るときは、そんなことがおこるなんて考えもしなかったんだけど」
苦笑する。
「あっという間に、有名俳優の仲間入りしちゃったね」
「俺はラッキーだった」
「孝志が魅力的な俳優だったからじゃない? それが一番の理由。わたしはずっと、孝志のファンだったよ」
自分の気持ちを悟られないように、光恵はガードをかけた。
今もまだ、好きだなんて、そんなこと。
絶対に知られたくない。
「今も、あなたの、ファン」
光恵は言った。
孝志が黙り込む。なぜか重苦しい空気が流れた。