豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
すぐに、孝志の手が光恵の顎をつかんで、右を向かせる。
目が合った。
心臓が止まりそうだ。
見下ろす彼の顔は、真剣で、練習の相手をした、あのときの表情を思い出させた。
「あの……」
光恵はかすれる声で、なんとかこの場をしのごうとしたが、先が続かない。
「もう、下手じゃないと思う」
孝志の顔がゆっくりと近づく。
光恵は目を開けたまま、固まった。
彼の鼻先が光恵の頬に触れて、暖かな呼気が唇にかかる。