豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
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結局、何も手につかないまま、夜が明けた。ベッドの上で、ぼんやりと壁を見つめ続ける。
突然の無気力に襲われて、光恵はあの後すぐに、アパートへ帰った。
孝志の行動がわからない。
ゆうみと親しいのなら、かつて思いを寄せた女性に、安易にキスしてはいけない。
小デブの孝志なら、そんなことしない。
いや、できないはず。
彼はもう、あの孝志じゃないのだ。
裏切られたような気持ち。
ゆうみに対する、恥ずかしいほどの嫉妬。
そして口惜しいけれど、
彼の唇が近づいたときの、のぼせ上がるような高揚感。
光恵は、自分のなかにある様々な感情を、どうにか理解しようとしていた。
「なんでこんなことになっちゃったかな……」
光恵は溜息とともに、そうつぶやいた。