豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
ランチの時間。
孝志は光恵の前で野菜弁当を開けた。
「まさかこれで、今日の食事最後?」
「夜は野菜スープ」
「だけ?」
「そう」
「俺、死んじゃう」
「大丈夫、死なないから」
「おにぎり欲しい」
「じゃあ、朝おにぎりたべよう」
「明日まで待たなくちゃいけないの?」
「だって今日はここにパン入ってるから」
「ぱん?! この小さいのが?」
「うん、ライ麦パン」
孝志は深く溜息をつくと「イタダキマス」と小さな声で言った。
しばらく無言でもぐもぐと口を動かしていた孝志が、「意外と食べられる」と言う。
「でしょ。野菜はスープで味を付けてあるし、ササミは柔らかく食べられるように塩こうじにつけてある」
「……もしかして、ミツって料理上手?」
「長く続けるためには、おいしくしなくちゃね。濃い味に慣れてるから物足りないと思うかもしれないけど、そのうちおいしいって感じるようになるから」
「ミツ、天使みたいだ」
孝志はそういうと、目を潤ませる。
「おおげさ」
光恵は笑った。