豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~


ひとしきり講師とコミュニケーションをとった後「じゃ、そろそろ行こうか、ミツ」と孝志が言った。


「また遊びにきてくださいね」
白鳥先生がうれしそうに言った。


「はい、皆川をよろしくお願いします」
孝志はそういって頭を下げる。


孝志にお願いしてもらう筋合いはないけど。


光恵は混乱した頭の中で、悪態をついた。とにかくどうしてここに孝志がいるのか、理解できていなかった。


孝志が再び眼鏡をかけ、光恵の背中を軽く押して、玄関の外へとエスコートする。戸惑いながら光恵は、夜の町へと歩き出した。


あろうことか、小学生の母親数名が、まだ玄関の外におしゃべりをしながら立っている。
孝志が軽く会釈をすると、彼女達から黄色い声があがった。付き合わされている小学生男子は、ぽかんとしている。


「あいつ、誰?」
後ろから、不満そうな男の子の声が聞こえた。


光恵は眉間に皺を寄せて、隣の孝志を見上げる。孝志の顔にはまったく動揺が見られない。憎いくらい冷静だ。


ほんと、ここに何をしにきたのかしら。

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