豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
いつのまにかコース料理がオーダーされていて、見たこともないような料理が運ばれて来た。
なんか、やたらと気合いの入ったディナー。
てっきり居酒屋あたりで飲むのかと思ったけど。
あ、でも、そっか。
居酒屋じゃあ、顔がばれるから面倒ってことなの?
普段、こんなとこで食事してるわけ?
っていうか、普通に食べてるなあ、これで太らないの?
「ミツさあ」
「……なんでしょう」
孝志がフォークを置いて、じっと光恵の顔を見つめる。光恵は耐えきれず下を向いた。
「俺の顔、見たくないほど、すっごく怒ってる?」
「……そりゃ、まあ。あなたは最低ですけれども」
孝志が黙る。
光恵は上目遣いに、彼の顔をうかがった。
まだじっと光恵を見ている。
それから「悪かった」と謝った。
「ミツの困ってる顔が可愛くて、つい意地悪したくなったんだ」
「何それ。限度があるでしょ?」
「そうだよね。悪かった、もうむやみに話さない」
孝志は頭を下げた。