豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
孝志はちょっとびっくりしたような顔をして、それから「別に女性に慣れたわけじゃないよ」と言った。
「嘘」
「そりゃ、前よりはちょっと……」
「ほら」
「でも好きな人の前では、緊張するし、どうしたらいいかわからなくなるよ」
光恵は殴られたように、くらくらする。呼吸を小さく繰り返して、なんとか平静を保とうと努力した。
今は誰のことが好きなの?
そう聞けたら、結構あっさりと教えてくれるかもしれない。昔のような関係に戻るのなら、それを望んでいるのなら、軽く聞いた方が、昔の光恵らしい。
でも、どうしたら、そんなことを聞けるんだ。
死亡宣告を自分からもらうなんて、そんなことできるわけがない。
「ミツは?」
「え?」
「ミツは随分、もててるみたいじゃないか」
孝志はにやっと笑って、ワインを飲む。
「もててなんか」
光恵は自分に話の矛先が変わって、慌てふためいた。
「野島、ミツのこと本気だよな」
「……」
「ミツは、野島のこと、どう思ってんの?」
相変わらず、デリケートな話に、ずばっと入ってくるな。
光恵は汗が止まらなくなった。