豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
お肉の純情

1



高級マンションの1LDK。透明なスライドドアを開くとベッドルームがあり、大きなワンルームのような作りにもなる。ライトをつけると、オフホワイトの絨毯に、暖かな光の輪が広がった。


孝志は鍵をキッチンカウンターにぽんと投げると、そのままベッドに倒れ込む。手を伸ばし、やわらかな枕をつかんで、抱きしめた。
それから、


「ちくしょーーーーー」
と叫びだした。


だて眼鏡を放り投げ、帽子も放り投げ、頭を手でかきむしった。セットされてきれいな黒髪は、あっという間にくしゃくしゃになった。


またミツを怒らせた。
もう駄目だ。
絶対に無理だ。
なんでキスなんかしちゃったんだああああ。


「だって、むかっときたんだもん」
孝志は枕に顔を埋めて、小さな声で言う。


野島のこと褒めたら、やたらうれしそうでさ。
それでからかいたいって言ったら、俺のことをすごく非難するような目をして。
なんなの?
あいつのことが、そんなに大事な訳?
だいたい、あの野島ってやつ、ミツに手を出そうなんて、百年早いんだ。
俺だって、ずっとずっと我慢してきたっていうのに。
あいつ、俺が見てる前で、なんだよ、さらっと手なんか握ってさ。
もしかして、もうそれ以上のこと、やらかしてるとか、そんなことあるかな……。


そこで孝志が固まる。


キスとか、そ、そ、それ以上とか……。

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