豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
孝志は「わーーーー」と叫んで、ベッドの上でじたばたしだした。
許さねー。
そんなこと、絶対許さねー。
あいつ、明日、いじめてやる。
でも、もし、
ほんとに、もしかして、
ミツが野島を好きだったら……。
孝志は再び固まる。
やたらと忙しい男だ。
あいつ貧乏だぞ。
前途有望かもしんないけど、すげー若いし。
まだまだ心変わりするかもしれない。
俺は稼げる。
めっちゃ、稼いでるし、ミツを養おうと思えば、できるんだぞっ。
それに、誰よりも、ミツが大好きだ。
孝志はがばっと起き上がると、冷蔵庫まで走る。扉を開けて、フルーツや野菜のいっつまった庫内の奥から、
キットカットを一つ、
取り出した。
封を切らずに、鼻にあてて、大きく息を吸う。
甘く、心地よい香り。
まだ大丈夫。
絶対に挽回できる。
ミツを振り向かせる。
孝志はしばらく、すーはー、匂いをかいだ後、キットカットを冷蔵庫に戻した。
よし、今日も我慢できた!
孝志はにんまりする。
そこに、ピンポーンとチャイムが鳴った。