豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~


孝志は慌てて髪を手で直す。インターホンのテレビを見ると、ゆうみだ。


孝志は玄関を開けた。


「孝志いた。邪魔するね」
ゆうみが眼鏡をとって、部屋にはいってきた。


ジャージ素材のロングワンピース。スタイルがいいので、とても背が高く見える。


ゆうみはリビングの革張りのソファに座ると、長い足を組む。それから「あー疲れた」と声を上げた。


「仕事だっけ?」
孝志は冷蔵庫からオレンジジュースを取り出して、コップにつぐ。「ゆうみ、飲む?」


「ありがとう、もらう。おつきあいで食事会だった」
「へえ、誰?」
「こんどCMで使ってもらうとこの社長さん」
「化粧品?」
「うん、口紅」


孝志はゆうみにグラスを渡すと、自分はもうひとつの一人がけのソファに座った。


「忙しいな」
「まあね」
ゆうみはジュースを一口飲むと、テーブルにグラスを置いた。


「明日から、光恵さんこないね」
ゆうみが言う。


「そうだな、あいつの仕事は、ほとんど終わりだから」
「才能ゆたかな人みたい」
「そう思う?」
孝志は光恵を褒められると、無性にうれしい。思わず笑顔になった。


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