豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
「孝志は、光恵さんのこと、すごく評価してるのね」
「うん、まあね。彼女の脚本は面白いから」
「それだけ?」
ゆうみが訊ねる。
孝志は首を傾げた。「どういうこと?」
「今も好きなんじゃない?」
孝志は驚いて目を開いた。
あれ?
ゆうみに気づかれてる?
孝志は曖昧に笑って、ジュースを飲んだ。どうもこういう話は苦手だ。
「だってたまに孝志、あの野島くんのこと、すっごいにらんでる」
「え!? ほんと?」
「そう、分かりやすい」
「……そっか、気をつけなくちゃな」
孝志は反省した。そんな子どもじみたこと、してはいけない。あそこは職場なんだから。
「ミツは、野島のこと、本気なんだと思う?」
孝志はゆうみの顔をみながら、たずねた。嫉妬心を表に出さず、あくまで、冷静を心がけて。
ゆうみは首を傾げた。その仕草はとても女らしく、光恵とは全然違う。
「悪い気はしないと思うけど。あんなカワイイ子に告白されたら」
「あいつカワイイ?」
「カワイイよ、一生懸命で。それにきっと、そのうちよく名前を聞くようになるわ」
「だろうな」
「志賀さんが、この舞台が終わったら、ちょっと話してみたいって言ってた」
「本当? じゃあ、俺たちの事務所にくるのかな」
「あ! 今、すごーく嫌な顔した」
ゆうみが孝志の顔を指差し、笑った。