豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
孝志は慌てて顔を元に戻す。
「たまに、孝志もすっごく幼いことするから、カワイイ」
ゆうみが言った。
「からかってろよ」
孝志はジュースを空にした。
「さ、帰ろうかな」
ゆうみが立ち上がる。
「なんか話あったんじゃないの? こんな夜に来てさ」
「ううん、なんか家に帰りたくなくて」
ゆうみが少し不安げな表情を浮かべた。
「どうした?」
孝志は立ちあがって、ゆうみの側に寄った。
「志賀さんから聞いてない?」
「なんかあったのか?」
「一人いるの、すごいストーカーが」
「ほんと?」
ゆうみがこくんと頷いた。
「ファンの一人なんだけど、手紙に脅迫めいたことが書いてあるし、家がどこかも分かってるみたいで」
「危ないじゃないか」
「まあ、家のセキュリティは万全だし、心配することはないんだけど。でもやっぱり一人だと心細いんだ」
「なんかあったら、連絡しろよ」
「うん、ありがとう。帰るよ、もう」
「わかった。じゃあ、タクシー呼ぼう」
孝志は携帯を取り出して、タクシーを呼んだ。