豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
芝居の間中、しっくりこない感覚に捕われた。
それに引き換え、輝の動きが前日とは全く違う。演じるキャラクターが変わったわけじゃないのに、もっと自由で、もっと軽やかだ。
輝はウェイター役。女の子に慣れていて、人生が奔放。孝志演じるシェフの不器用さを笑いながらも、どうしたら女の子の気を引けるのか、冗談半分に教えていく。
孝志は、演じている間、本当に輝に笑われ、馬鹿にされている感覚に陥った。台詞通りなのに、言葉一つ一つに傷ついた。
どうしたんだろう、俺。
舞台から、俺だけ転がり落ちてしまった。
もうすぐ幕が開くのに……。