豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
夜、ゆうみをマンションまで送る。自分の稽古に付き合わせて、遅くなってしまった。
タクシーから降りて、エントランスに入る。ゆうみは自分のポストの暗証番号を押して、郵便物を取り出そうとした。
「あ!」
ゆうみが悲鳴のような声をあげた。
「どうした?」
「これ……」
ポストの中を見ると、写真立てが入っている。彼女の写真。ちょうどこのマンションを出て行くところだ。
「これ、いつ……?」
「昨日の服。ねえ、写真立て、立ててセットされてる。どうやって、投函したの?」
孝志は息をのんだ。明らかに一度、このポストは開けられたのだ。暗証番号がついているにも関わらず、だ。
「暗証番号、部屋と一緒なの」
ゆうみが泣きそうな声を出した。
「とりあえず、一緒に部屋まで行こう」
孝志はそういって、ゆうみを促した。
もし部屋にはいられでもしたら、大変なことになる。