豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
ゆうみがハーブティを入れて、孝志に手渡す。花のような香りが漂った。
「孝志は今すごく、野島くんを意識してるみたい」
「そうかな」
「そうよ。なんだか舞台上で張り合って、おかしな感じ」
「そうか……みんなに申し訳ないな」
「彼女が気になるなら、ちゃんと向き合ったらいいのに」
ゆうみが笑みを浮かべながら、カップに口を付ける。
「ゆうみはどう思う? 彼女は、俺のことどう思ってるかな」
孝志は思わずそう聞いた。
ゆうみがちらりと孝志を見る。それからゆっくりとテーブルにカップを置いた。
「わからない。聞けばいいじゃない?」
「怖くて聞けないんだ」
するとゆうみが「ふふ」と笑う。
「やっぱり、孝志は、おもしろい。わたしの思ってた通り」
「?」
孝志は意味が分からず首を傾げた。
「この舞台、孝志がモデルなのね」
「みたい。ミツが言ってた」
「孝志そのまま、って感じ」
「? 昔の俺だろ?」
「ううん、違うわ。今の孝志、そのまま」
ゆうみは言った。