豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
孝志はどういうことか分からない。たくさんの「???」が頭の中に浮かび上がった。
「わたし、完璧な男は嫌いなの。孝志はわたしと同類で、いつも気を張って生きてる。だから、すごく好き」
ゆうみが軽くそう言った。
「あ、ありがとう」
孝志はなんだか分からず、とにかく礼を言った。
「ほんと、あのシェフそっくり。人の感情に疎くて、不器用」
ゆうみが笑う。
「今、わたしは、孝志のことが好きだって、そう言ったのよ?」
ゆうみが孝志の顔を真剣な顔で見る。
「光恵さんのことはわからない。あの人が孝志を好きかどうかなんて、わたしには関係ないの。あるのは自分の感情と、目の前に孝志がいるっていう事実」
ゆうみがそっと孝志の指を触る。
孝志は緊張から、頭がくらくらし始めた。
これは……まさか、いや、そんな……。
頭をフル回転させて、この状況をどう処理するか考えた。
どう考えても、この部屋に居続けるのはまずい。
でも、彼女を今一人にするのも、まずい。
どっちが、より、すごくまずい???
「光恵さんには、フェアに戦いましょうって言ったわ。卑怯なまねはしたくない。ストレートに小細工なしで、孝志に気持ちを伝えた。選ぶのは、孝志」
ゆうみは固まる孝志の身体に手を回し、胸にその小さな頭を預けた。
え?
え?
え?
どうしたら、いい?
ゆうみが顔をあげ、驚いている孝志の顔を面白そうに見つめる。
それからそっと、孝志の唇にキスをした。