豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
「野島と来たんだ」
孝志は日陰を選んで、コンクリートの地面に腰を下ろした。
光恵も隣に腰掛ける。
「そう、迎えに来てくれたの」
「そっか……」
孝志はうつむいて、落ちている小石を拾っては、ぽいと捨てる。
「何を怖がってるの?」
光恵は思い切って訊ねた。
「怖い?」
「輝くんが、孝志は何かを怖がってるって」
孝志はそれを聞くと、自虐的な笑みを浮かべる。
「あいつ、すげーな」
「どういうこと?」
孝志は無言で首を振る。
距離を感じる。孝志と話していても、彼は光恵の届かない場所にいるようだ。
「野島のこと、好きでしょ?」
孝志は冗談めかして、そう言った。
光恵は「もちろん、嫌いじゃないよ」と答える。
「一緒にいて楽しいと思うし、かわいいなと思う」
「……前、俺がここにいたとき、俺のことはどう思ってた?」
孝志は訊ねた。