豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~


「ん?」
孝志はぼんやりした顔で、光恵を見上げる。


「食べ過ぎでしょ? 何個食べる気?」
光恵は孝志のポケットに手を入れた。


キットカットが、ポケットの中にぎゅうぎゅう詰め。


「は、箱買い?」
「買っちゃった」
孝志は口をもぐもぐさせながら言った。


「『購入ボタン』押しちゃった」


「だ、駄目でしょ!?」
素っ頓狂な声が出てしまう。


「もうすぐ初日で、太る訳にいかないんだよ!」


すると孝志が「いいんだ、もう」とつぶやく。


「よくないよ」
「俺もう、ぜんぶいいんだ。だって、意味がなかった」
「? 意味はあったでしょう? 仕事で成功したじゃない」


するとちらりと光恵を見て「仕事で成功するために、ここを出て行ったんじゃないよ」と言う。

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