豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
「俺にかまうな、太ってやる」
孝志は叫んだ。
くっきり二重の甘い顔に、セクシーな身体。
Tシャツから鎖骨が見えると、どぎまぎする。
はずなのに。
光恵はなんだかおかしくなって来た。
「笑うなっ、ミツ!」
「だって……いい男なのに……すごい、モテなさそう」
「うるさい! それは自分が一番よくわかってんだっ」
「あ、自覚あったんだ」
「あたりまえだろ! 俺の人生にモテ期はなかった!」
孝志が光恵に取られたキットカットに手を伸ばす。
「あはは、駄目だってば」
「チョコがなくちゃ、無理! 今、ミツを失ったんだぞ」
「いるじゃない、目の前に」
「でももう、野島のものだ」
「わたしは誰のものでもないってば。早とちりなんだから」
「?」
孝志の動きが止まる。
「野島が好きなんじゃないの?」
「いつそんなこと言った?」
「だって……あ、まあ、関係ないや。いずれにせよミツは俺を選ばない」
孝志は頭をかかえた。