豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
「そう」
ゆうみはそう返事をすると、しばらく無言で窓の外を見る。
孝志の胸に、後ろめたい気持ちがわき上がる。
「このあいだのことは……」
手にかいた汗が、皮製のハンドルに染みる。
「わかってる。アクシデントみたいなものよね」
「……悪かった」
「いいの、わたしがしかけたんだから」
ゆうみはにこりと笑うと、髪を耳にかける。
「でもあの日、孝志が朝までいてくれて、うれしかった」
「ゆうみ……」
孝志はあの日のゆうみの姿を思い出す。下着姿の彼女は、予想以上に豊満だった。自然と顔が赤らむのを隠すように、無表情をきめこむ。
「光恵さんには、もちろん内緒よね」
「できれば……そうしてほしい」
「わかった。もう二度とないから、安心して」
「ありがとう」
孝志は冷や汗をかきながら、オークラの駐車場へと乗り入れた。