豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
「もう振り返らないで」
「ミツ、俺……」
「振り返らないで。わたしはあなたの思い出にしかすぎない。あなたも……」
光恵の声が震える。
「あなたも、わたしが好きだった孝志じゃない」
孝志がうつむく。
光恵は唇を噛んで、立ち去ろうとした。
「ミツが、大人の男になれって言ったんだ」
孝志が言った。
光恵は立ち止まり、振り返る。
孝志が光恵の脇をすり抜け、そのまま稽古場へと歩いて行く。
光恵は動けずに、孝志の背中をじっと見つめるしかなかった。