豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
ミツに伝えなくちゃ。
俺は君のために変わったって。
俺はまだ、格好悪くて、泣き虫で、小学生の時と頭の中はほとんど変わってないけど、君のために大人になりたいって、そう思えるようになった。
俺は君が好きだ。
心地よい場所を出て、新しい場所で頑張れるぐらい、君が好きなんだ。
それが、今の、俺。
「佐田さん」
記者が呼びかけた。
「舞台の主人公は、これまでの作品のキャラクターとは、180度別の人物のようですね。演じていて、違和感や難しさを感じていますか?」
「いいえ、この主人公は、僕そのものですから」
そこで、記者が「そうなんですか? 信じられませんけれど」と笑いながら言う。
「ええ、そのままです。本当に格好悪くて、ずっと自分が恥ずかしかった。正直に言えば、前回の映画の話が来たとき……」
「すごい挑戦でしたね。見ていて、本当にドキドキしました」
記者が言う。
「僕には絶対にできないと思いました。何せ、その頃、キスもしたことがなかったので」
「え?!」
記者が目を丸くする。
ゆうみが隣で微笑むのが気配でわかった。