豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
光恵は動画サイトを閉じて、鞄にスマホをしまう。そのまま楽屋へと向かった。
「おつかれさまです」
「お、ミツ、来たか」
本番前の心地よい緊張感。役者達はすでにメイクをすませ、着替えている。
光恵は孝志の姿を探す。
どこだろう。
会って話をしたかった。
ゆうみが視界に入る。
彼女は緊張した様子で、三池と話していた。
「ミツ」
後ろから声をかけられて、振り向いた。
完璧なシェフの姿。
孝志が微笑んで、立っている。
「孝志、あの……」
さっき見たインタビュー動画のことが聞きたいが、なんとたずねたらいいか分からなく、口ごもった。
「舞台の上の俺が、今の俺。
光恵の目から、俺がどんな風に見えてるのか、やっと気づいた」
孝志は愛おしそうに光恵を見て、優しく微笑み光恵の手を取った。
「光恵の世界を、みんなに見せてくる。ここで待ってて」