豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
一週間が経った。
光恵はやっとこの暮らしに慣れて来た。お互いのタイムスケジュールが分かり始めて(孝志のスケジュールは光恵が決めたのだけれど)どうやって生活すればいいのか分かって来たのだ。
最初は、男性の孝志が家にいることで、ある程度緊張するんじゃないかとも思っていたが、そんなことはなかった。正直、孝志を「男性」として意識することはほとんどなかったし(まんまるだしね)、向こうも光恵を女性として扱っていないような気がした。それはそれで少々腹も立つが仕方ない。身の危険を感じるよりよっぽどいい。
孝志の体重変化も順調だ。
やはりこれまでの暴飲暴食をやめれば、ある程度体重は減るのだ。この一週間で三キロ。いいペースだ。ただダイエットには停滞期はつきもの。それを乗り越えられるかが鍵だ。
「ミツ、写真とって」
孝志が夜のランニングから帰ってきたので、玄関でポーズをとる。
毎日写真を撮っている。目に見えて変わると、やる気が出てくるからだ。
「オッケー」
光恵はスマホを構えて、写真を取った。
「ちょっとすっきりしたよ。顎のラインが出て来たみたい」
「みせてみせて」
孝志が光恵の手元を覗き込む。
「あ、ほんとだ。顎がある! 久しぶりに見た」
孝志が笑った。
それから光恵をまじまじと見てから「一緒に写真取る?」と訊ねた。