豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
「なんで?」
「毎日おんなじ写真じゃつまんないだろ」
そう言ってから、光恵のスマホを奪い取る。
「ほら、笑って」
孝志が言うので、光恵は仕方なく孝志の隣で微笑んだ。孝志の背が高いので、自ずとちょっと上向きになる。
カシャっと音がしたので、写真を確認する。
「あ!」
孝志が声をあげた。
「何?」
「もう一度とろう!」
光恵を引き寄せ頬をつける。孝志は腕をぐっと上にのばし、かなり上の方から写真を取った。
「何よ」
光恵は困惑して首を傾げた。
「みてみて」
孝志がとった写真を見せた。
「上を向いて写真取ると、顔がすっきりして見えるよ! お肉が下に落ちるからかなあ。ほら、ミツの顔もすっきり」
「わたしは最初からすっきり」
光恵は思わず抗議する。
「スチール撮影とか、このテクでいけるんじゃないかなあ」
孝志がさも「俺、すげーこと考えついた」みたいな顔をしてるので、光恵は笑ってしまった。
「じゃあ孝志の写真は、いっつも上からのポーズってことなのね。馬鹿みたい」
「馬鹿みたいって言うなよ。大きな発見だ!」
孝志は胸を張った。