豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
「あ、そうだ、豆乳切らしてたんだ」
光恵は思い出した。
「夜、スープに使いたいから、今買いに行ってくる」
光恵はお財布を手に持つと、孝志の横を通り抜け、サンダルを履いた。
「え! 待って、俺も行く」
孝志も慌ててサンダルを履いた。
「待っててもいいんだよ」
「いや、夜道の一人歩きは危険だから」
孝志はそういって、にっこり笑った。
夜はさすがに冷えてくる。空には雲がかかっていて、月も星も見えない。左右の住宅に明かりは灯っているが、夜道自体は静かだ。光恵は、これまで夜道で怖い思いをしたことなどなかったが、やはり孝志と並んで歩くと安心できる。
「ねえ、スーパー行っても、豆乳しか買わないからね」
「わかってるって」
スーパーの明かりが見えて来た。スーパーの大規模チェーン店だ。夜十二時まで開いているので、光恵はとても助かっている。
店に入ると、寄り道せず、まっすぐ乳製品売り場へと急いだ。