豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
駅周辺には見当たらない。光恵はもっと自宅近くかもと思い、アパートの方へと帰りだした。
まっくらだ。住宅街の家々はすっかり消灯しており、街灯だけがぽつぽつとついている。
ふと、後ろから誰かが歩いてくるのがわかった。立ち止まって振り返る。10メートルほど後ろに、サラリーマンのような格好をした男性がいたが、光恵に気づくとぴたっと足を止めた。
やだ。
光恵が再び歩き出すと、サラリーマンも歩き出す。
完全につけられている。
光恵は走りだした。
考えもなくぱっと飛び出して来たが、今は深夜。物騒な時間だ。光恵は全速力でアパートへと走った。息が切れて、心臓が痛い。でも恐怖に追い立てられるように、必死に足を動かした。
アパートが見えて来た。救われるような気持ちになる。
あと少し。
ポケットから鍵を出して、パニックになりながら扉を開けようとした。そのとき、
腕をぐっと掴まれて、後ろに引っ張られた。